CASE STUDY

株式会社ロッテ

https://www.lotte.co.jp/

AIを用いた焼菓子の外観検査、及び外観検査の結果と生産状況を可視化し分析

業種

菓子、アイスクリーム、健康食品、雑貨の製造および販売

導入ソリューション

  • 通信モジュール

  • アプリケーション

  • AIサービス

  • その他

    生産状況見える化

判別が難しい不良品判定の自動化、傾向分析

  • 目的

    熟練技術者のノウハウに依存し品質や生産効率の改善に時間がかかっている問題を、スマート工場化で解決したい。

  • 導入効果

    • 判別が難しい不良品判定の自動化
    • 全数検査とライン全体の見える化。データの蓄積・分析
    • 不良品発生の傾向分析
    • 列ごと・時間帯ごとのトレーサビリティ

導入の背景・目的

一般に自動化が進んでいるといわれるプロセス製造ですが、食品製造業はさまざまな工程において熟練技術者のノウハウに依存しており、品質や生産効率の改善に時間がかかるという問題がありました。さらにそう遠くない将来には、熟練技術者の引退や人手不足という問題が生じることが想定されています。

この様な状況から、世界的なお菓子メーカーであるロッテ様は以前より積極的にスマート工場化に向けた取り組みを進めています。IoT/AIといった新しい技術を活用し課題解決を目指す部門横断的なプロジェクトを2017年に正式に発足し、2018年頃から具体的な活動に取り組んでこられました。

IoT/AIという新しい技術で、熟練技術者の引退や人手不足をはじめとする、
あらゆる課題解決に

この様な中、外観検査自動化に着目されました。従来の方法(ラインの作業者が手で不良品を除去する)を一新し、自動化を取り入れようというものです。将来的な人手不足解消と共にスマート工場化(ほぼ無人化)を狙っています。

生産ラインの抱える課題

外観検査自動化の対象として、チョコレートを用いた焼菓子等の生産を行っている狭山工場の課題に注目します。これまでも生産ラインの自動化は進んでいましたが、工業製品と違って、その日の室温、湿度等の影響を受け、半製品に微妙に個体差のでる焼菓子の外観検査工程は、合否判定のシステム化が難しく、人手に頼った検査をせざるを得ませんでした。

ラインから大量に流れてくる焼菓子の検査を行うには、交代制で常に数人の検査員を確保する必要があります。また判別の基準は作業者に依存し、神経を使う検査工程となるため、均質化の課題がありました。不良品の排除とトレーサビリティの両立も課題でした。

作業者に依存しない検査、不良品の排除とトレーサビリティを実現したい

こうして技術検証がスタートしました。

AIが課題を解決・検証を経て採用へ

あらゆる課題の克服にAIの活用が効果を発揮しました。AI(ディープラーニング)は膨大なデータの中からルールを見つけ出すことが得意です。判別基準が作業者に依存する焼菓子の合否判定をAIに学習させることで、判定モデルを作成します。そのモデルに沿って均質な判定を行うことができます。ロッテ様は複数のAI活用ソリューションについて簡易検証を行い、効果を比較した結果、YEデジタルのAI画像判定サービス「MMEye」を採用されました。

ロッテ様のYEデジタル選定理由

  • 複数のベンダーの提案を受けたが、YEデジタルはMMEyeを始めとしたAIの導入実績が多く、具体的なイメージを掴むことができた。
  • 使い易かった。
  • AIを自社開発しているため、導入後の拡張性等、将来的な展望を見据えることができた。

AI導入実績、操作性、将来性を評価

AI画像判定サービス「MMEye」の特徴

  • 食品などの個体差がある対象物に対して、良品/不良品の画像判別が可能
  • 画像処理やAIなどの専門知識は不要。誰でも簡単に操作、設定ができる
  • 判別の精度が高い

導入概要

2020年1月、狭山工場にある焼菓子の生産ラインへの導入されました。今回導入したAI画像判定するのは絵がプリントされた方ではなく、チョコレートを注入する裏側の確認です。これまで画像認識技術での判定が難しく人手でやらざるを得なかった「ワレ・カケ」「チョコ注入時のはみ出し」「焼き色」などの判定をAIによる自動判別が実現しました。

ロッテ様クラウド検証画面

ロッテ様クラウド検証画面

内容

  • AI画像判定による、生産ラインを流れる焼菓子の欠け/割れ等の不良品の判別
  • 良品/不良品をカウントし、歩留まりを表示
  • 生地伸ばしの工程から検査工程に続くラインの各所にセンサを導入し、ライン全体を見える化
  • 判定結果とセンサで取得した焼菓子のデータを集約、ツールにて分析

<現地生産ラインのイメージ>

導入効果

「ワレ・カケ」「チョコ注入時のはみ出し」「焼き色」のチェックを行っていますが大変上手くいっており、「AIは閾値で判断しない」ことに意義を感じているとのことです。たとえば、

  • 全数検査・ラインの見える化・データの蓄積・分析で、判別結果や傾向が得られた。
  • それにより、不良品発生状況から前工程の調整を行うことができ、前工程を変えることでどのように結果に影響が起こるかの効果検証もできるようになった。

現在、AIによる判定で不良品率、不良品のパターンが把握出来るようになりました。全数検査によるデータの取得・集約・分析が業務改善に大いに役立っています。

ロッテ様分析画面

MMEye導入で実現したこと

  • 判別が難しい不良品判定の自動化
  • 全数検査とライン全体の見える化。データの蓄積・分析
  • 不良品発生の傾向分析
  • 列ごと・時間帯ごとのトレーサビリティ

初期投資がかかっても、自動化した方が結果的にコスト削減につながります。生産性を限りなく向上させること・品質をあげることの両立が必要です。MMEyeはそれを実現させてくれています。

今後の展望

このAI導入による傾向分析で、今まで人のカン・コツに頼っていたところのシステム化の可能性が見えてきたとのことです。これからこの傾向分析とあわせ、判定結果の自動排出の導入検討へ進まれます。これでスマートファクトリーへの第一歩を進めることができたと実感されています。

この事例への導入ソリューション


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