CASE STUDY

神姫バス株式会社

連節バス「ポートループ」路線でスマートバス停化

神戸のまちづくりにスマートバス停を活用

  • 目的

    神戸市が取り組む「デザイン都市の具現化」構想の一環としての、公共交通ネットワークの利便性向上

  • 導入効果

    • 他事業者との共同表示を実現
    • 時刻表の注記表示を改良
    • お客様の利便性向上

神戸市の取り組み

まちづくりの一環としての新しい公共交通の導入

ウォーターフロントを走行する
ポートループ

神戸市は「港都神戸~都心・ウォーターフロントの将来構想」(2011年)で、デザイン都市の具現化をめざしています。「まちのデザイン」として「人にやさしく快適な回遊ネットワーク」を実現するため、三宮都心・ウォーターフロント(臨海部)への自動車の乗り入れを抑制し、環境にやさしい新たな公共交通を導入、三ノ宮駅などの交通結節機能の強化を進めることとしました。

連節バス「ポートループ」運行開始までの動き

神戸市は「神戸市総合交通計画」(2013年9月策定)に基づき、公共交通ネットワークの利便性の向上をめざして、さまざまな検討を進めました。次世代型路面電車(LRT)や連節バス(BRT)の導入もその一環で、社会実験も複数回行われています。神姫バスは運行実績があることから選定され、2017年ごろから神戸市の三宮都心からウォーターフロントにおける試験運行を開始、2021年4月に連節バス「ポートループ」の運行を開始しました。

交通案内の検討

再整備が進む神戸・三宮 都心部にふさわしい交通案内を

三宮では、神戸市が再開発を進めています。乗継拠点となる三宮は、いろいろな行き先のバスが出発するターミナルですので、発信する情報の柔軟性や即時性からサイネージ導入を検討しました。「都心部にふさわしい交通案内」を提示したいと考えていたこともあり、「街なかにあって目をひくもの」としてもサイネージはよいと思いました。

事業者別で利用者にわかりにくい交通情報

神戸市内には複数の交通事業者が乗り入れています。バス停の時刻表や接近情報システムも事業者別で、同じ行先のバスでも複数の事業者を横断して情報を得ることは難しいなど、利用者にとってはわかりにくい状況にあります。情報・システムが分断されている現状から、幅広い層の利便性向上が課題です。

都市型交通の課題、改善へ

他の事業者との連携に魅力

ちょうどそのとき「アジア太平洋地域ITSフォーラム」(2018年)でスマートバス停を知りました。一般的なサイネージで表示できる情報は「次は〇時〇分発〇〇行」や「バスが一つ前のバス停を出発しました」程度ですが、クラウドから時刻表を配信するスマートバス停には、従来型にない機能があります。また、既存のシステムと柔軟に連携ができることも、今後の神戸のまちづくりを考えたときに魅力を感じました。

既存のシステムをスマートバス停に組み込めるのかを検討

ポートループには、神姫バスの一般路線バスと同じ、国際興業様のバスロケーションシステム(接近情報)が搭載されています。既存のこのシステムをスマートバス停に組み込めるのかどうか、が重要な検討課題でした。もし組み込めなければ、スマートバス停専用のバスロケーションシステムを新たに備えつける必要があり、むだが増えます。複雑で、お客様にもわかりにくいでしょう。神戸市のまちづくりのためには、スマートバス停を活用したバス停標柱の一本化を他地域でもぜひ進めたい。そのためには、他社のシステムとの共存が必要なので、ぜひともこの課題を解決しておきたかったのです。

サイネージ画面で他事業者との共同表示を実現

スマートバス停のサイネージ画面には、管理クラウドから、さまざまな機能を割り当てて表示させることができます。時刻表はもちろん、ニュースや天気予報サービスも表示できます。今回は、他社のシステムと連携して画面に表示する機能を用いて、新港町バス停では神戸市交通局運行のバスの情報も表示しました。

導入効果

「運用しながら改良」クラウドサービスの利便性を実感
「添え字の小文字化」実現で、より見やすい時刻表に

添え字の小文字化

※添え字意味:■ 車いす対応車両、★ 休校日運休

時刻表には、行き先や経由地を示す「添え字」が必要です。しかし、運用を始めた時点では文字サイズが一種類しかなく、見やすさの点で課題がありました。YEデジタルは当社のニーズを理解し、他社のサービスで実装した「添え字の小文字化」を提案してくれました。運用しながら利便性を高めていけるのは「クラウドサービスならでは」ですね。お客様の視点に立った配慮や、事業者に寄り添う姿勢もありがたく思いました。

今後の展望

スマートバス停を活用し、他地域でもバス停表示の一本化を

スマートバス停

今回のスマートバス停導入は、「ウォーターフロントエリア」という限られた地域でした。しかし、現在のような事業者別のバス停表示では、まちとしての神戸の統一感を欠く面があり、お客様の利便性もなかなか向上しません。神戸市のまちづくりの一環として、他エリアでもスマートバス停を活用して、バス停表示の一本化を提案していきたいと思います。

お話を伺った方々

神姫バス株式会社
バス事業部営業課
木村真里子様

神姫バス株式会社
バス事業部営業課
課長 佐藤匡様

※掲載内容は取材時(2021年9月)のものです。

企業情報

神姫バス株式会社

https://www.shinkibus.co.jp/

業種:兵庫県全域で691両の乗合車両で、948系統を運行

この事例への導入ソリューション

スマートバス停/スマートバス停クラウド「MMsmartBusStop」